2011年7月13日水曜日

"Rule, Britannnia!"と"Land of Hope and Glory"に見るイギリス帝国の自己イメージ

先日、思いついき、Twitterでつぶやいたことをゼミの先生(近代英国史)に聞いてみました。
漠然と、ふんわりとしたことを言ったのだけど、先生は、その見方は面白いと言ってくださったので、せっかくだしまとめてみることに。

私が聞いてみたのは、「"Rule, Britannia!"と"Land of Hope and Glory"ではイギリス人自身のイギリスの自己イメージが大幅に変わっていると思いますが、どう思われますか?」です。要旨は。

詳細は、うしろのリンク(といってもWikipediaですが)を確認していただくとして、私の意見の論拠を。
この2つはそもそも何なのかというと、イギリスの愛国歌で、Rule, Britanniaは18世紀(1740)でトマス・アーン作曲/ジェームス・トムソン作詞、Land of Hope and Gloryは20世紀(1902)でエルガーの『威風堂々』に歌詞をつけたものです。
あー、もう、フルネーム書くのめんどいから、以下、RuleとLandで。

どちらもイギリスすげぇという歌なのですが、2つには大きな違いがあると思ったんですよ。
Ruleは基本的に「海」の歌です。
Rule, Britannia! rule the waves:
"Britons never will be slaves." 
上は抜粋ですが、ブリタニアは海を統べよ、と言っています。

一方、 Landには次の一節が。
Wider still and wider
Shall thy bounds be set;
boundは「境界」とかそういう意味なのですが、このboundという語は非常に「陸」を意識させる語だと思います。「海」には境界線はありませんから。
とまぁ、漠然と先生に言いましたところ、反応は先程のようですが、19世紀のイギリス帝国は「海上ルートの集積」(Rule)としての帝国から「版図の集積」(Land)としての帝国という意識上の変化が起きたのだろうと私と同意見のようでした。 (「海上ルートの集積」と「版図の集積」という言い方が興味深かった。)
あと、19世紀のイギリス帝国はある論者に言わせると、「ぼぅっとしてるうちに"Land of Hope and Glory"に見るイギリス帝国の自己イメージ大きくなった」とも教えていただきました。直接統治だとコストが…とか、そんなところらしいです。

もっと面白いのは、この2つが夏に開催されるBBC PromsのLast Nightで歌われることですね。

RuleとLandの間を埋める愛国歌をもっと検討すれば面白いかもしれないです。

関連URL
http://en.wikipedia.org/wiki/Rule,_Britannia!
http://ja.wikipedia.org/wiki/ルール・ブリタニア
http://en.wikipedia.org/wiki/Pomp_and_Circumstance_Marches
http://ja.wikipedia.org/wiki/威風堂々_(行進曲)

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