2011年8月31日水曜日

『ヒトラーとスターリン』:3

『ヒトラーとスターリン』下
p.467
「5月15日水曜、午前7時半。ロンドンの海軍省で床についていたウィンストン・チャーチルは、電話のベルでたたき起こされた。6週間前にダラディエからフランス首相を引き継いだ、ポール・レイノーからだった。チャーチルは寝ぼけまなこだったが、レイノーの第一声で眠気は吹き飛んだ。
「我々は敗北した」と、彼は言ったのである――興奮したようすで、英語を使って。
チャーチルはあっけにとられ、一瞬言葉を失った。
「我々は負けたのだ。」レイノーは繰り返した。「戦いに破れてしまった」。
チャーチルは必死になってレイノーを説得しようとした。経験から言えば、ドイツ軍は数日後に補給のために停止せざるを得ないだろうし、その時には反撃可能だ、と。だがフランスの首相は最初の言葉を繰り返すばかりだった。「我々は敗北した。戦いに敗れてしまったのだ」。」

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