2012年2月29日水曜日

ハンチントン『軍人と国家』-3

権力、プロフェッショナリズムおよびイデオロギー―シビル・ミリタリー・リレーションズの理論
シビリアン・コントロールの諸形態
  • 「シビリアンコントロール」は未定義の概念
    • ここでは「いかにして軍人の権力を極小にしるうか」を定義の基本的な問題とする
  • 2通りの答え=主体的シビリアンコントロールと客体的シビリアンコントロール
  • 主体的シビリアンコントロール
    • 文民グループの権力の極大化
      • しかし、文民グループは多数+多種多様ゆえに利害不一致→軍部に対して全体として権力の極大化が不可能
    • シビリアンコントロールの一般的概念は任意の文民グループの利益と同一視される
      • ゆえに主体的シビリアンコントロールは各文民グループ間の権力関係を含む
      • 常にどの文民グループがこの統制を行おうとしているかを問うことが必要
    • ごく最近のことを除けば、西欧社会においてはシビリアンコントロールはこの主体的な意味においてのみ存在してきた
    • 事実、主体的シビリアンコントロールは専門職業的な将校団が存在しない場合に可能なシビリアンコントロールの唯一の形態
  • 主体的シビリアンコントロールの種類
    • 政治制度によるシビリアンコントロール
      • 17c-18cの英米では軍隊は国王の統制下
      • 「シビリアンコントロール」というスローガンは国王に対して権力を増大させる手段として議会グループにより採用
        • 国王も議会同様に文民であるゆえ、一般的なシビリアンコントロールではなく、軍隊に対する議会のコントロールを極大化する意
        • また、国王から権力を奪取する手段
        • 現代のアメリカも類似=議会vs大統領府
    • 社会階級によるシビリアンコントロール
      • 18c-19cのヨーロッパ貴族vsブルジョワジーの軍隊のコントロールをめぐる闘争
    • 立憲形態によるシビリアンコントロール
      • シビリアンコントロールを特定の文民の利益と同様に同一視するという考え方の広い適用は主に民主制などの特殊な立憲形態のみが、シビリアンコントロールを保証しうるという主張がなされる場合にみられる(ややこしい日本語!)
      • シビリアンコントロール=民主政体、軍部の支配=絶対主義的/全体主義的政体
        • 民主主義国家における政策→説得と妥協の産物
        • 絶対主義国家における政策→力と威圧、脅迫の産物
        • したがって、(軍部の力 in 民主主義国家) < (軍部の力 in 全体主義国家)
      • …という主張は必ずしも真実ではない
        • 民主主義国家における軍部
          • 民主的な政府や政策の立法過程と諸制度によってシビリアンコントロールの基礎を危うくし、大きな政治権力を獲得しうる(ex. アメリカ in WW2)
        • 全体主義体制における軍部
          • 軍部の権力の弱化がありうる
            • 互いに競争的な単位に将校団の分割
            • 党派的な軍隊や特殊な軍隊(ex. 武装SS、ソ連内務省)の組織
            • 独立の指揮系統を持った軍隊の全国浸透
          • テロや陰謀や監視や暴力は全体主義国家における統治の方法
            • これらは全体主義国家で文民が軍隊を統制する手段
            • 十全に行使されたならば、軍部の政治権力を抹殺しうる(ex. ドイツ in WW2)
        • したがって主体的シビリアンコントロールは特定の立憲制度の独占物ではない
    • 軍事専門職業の発生は、シビルミリタリーリレーションズの問題を変形させ、軍隊に対する支配権の極大化を志向する文民グループに困難を強いた
    • 競合の文民グループのみならず、新しく、独立の機能を持った軍の要求とも対峙する必要あり
    • 主体的なシビリアンコントロールの特殊な形態の持続の主張のためには、これらの要求が否定ないし変質させられる必要性
      • どちらもされなければ、主体的シビリアンコントロールは不可能
    • 軍隊の機能上の要求と軍の外の社会との間の関係を調整するいくつかの新原理が必要
    • 特定の文民グループの手段的な価値に過ぎない限り、どの意義に関しても共通の同意を取り付けることは不可能
    • このことは、「シビリアンコントロール」が18c、19cにしばしば登場するが、十分に定義されることがなかったことの歴史的事実の説明をなす
  • 客体的シビリアンコントロール
    • 生んじ専門職業の発生による主体的シビリアンコントロールの旧式化後のシビリアンコントロール
    • ミリタリープロフェッショナリズムの極大化
      • 将校団の成員に専門職業的な振る舞いをさせるための軍人グループと文民グループの間の政治権力の分配
    • 主体的シビリアンコントロールとは正反対
      • 軍人を軍人たらしめ、彼らを国家の道具たらしめることによる目的達成
        • 主体的シビリアンコントロール…軍人の文民化、彼らを国家の鑑たらしめることによる目的達成
      • 客体的シビリアンコントロールのアンチテーゼ…政治への軍人の参画
        • 軍部が制度的、階級的、立憲的な政府に漸次巻き込まれるにつれて、それだけ弱体化する
          • 主体的シビリアンコントロールはこれを前提
      • 本質…自律的なミリタリープロフェッショナリズムの認識
        • 主体的シビリアンコントロールの本質…軍の独自の活動分野の否定
      • 客体的シビリアンコントロールへの要求は軍隊の専門職業化に由来
        • 主体的シビリアンコントロール
    • 軍部の権力を最小限に留めるという要素はどちらのシビリアンコントロールにも共通
      • 客体的シビリアンコントロールでは軍の専門職業化、政治的安定と中立により達成
        • 全ての文民グループにとって軍部の政治権力のレベルを最低限まで下げることを意味する
          • かつ、専門職業の存立に必要な権力の本質的要素を保持させる
        • 高度に専門職業化された将校団は、国家内部で合法的権威を保持している文民グループの願望を満たす用意がある
        • このことが結果的には、多種多様な文民グループの間の政治権力の配分とは無関係に軍部の政治権限の限界を規定する
    • プロフェッショナリズムが最極大化される点を超えて軍部の権力が弱化させられる場合
      • 特定の文民グループの利益に寄与し
      • 文民グループ間の権力闘争においてそのグループの権力を増大させることとなる
    • ミリタリープロフェッショナリズムを最も促進する政治権力の分配は、軍の権力が、文民グループのうち任意のものに肩入れされず、弱化させることが可能な最低点を決めるものである
    • このような理由から、シビリアンコントロールの客体的定義は
      • 政治的に中立であらゆる社会集団が認めるようなシビリアンコントロールについて唯一の具体的基準を含み
    • 主体的なシビリアンコントロールの定義付けは、シビリアンコントロールと軍事的安全保障との間の構想を前提としている(シビリアンコントロール or 軍事的安全保障)
      • 軍事的不安がシビリアンコントロールを不可能にすると主張する特定の文民グループの信奉者によって一般に認められてきた
      • 安全保障上の脅威が増大するにつれて、軍事的要求も増大し、それに対抗して、軍部に対する文民の統制権が弱まるということを言おうとしたに過ぎない
      • 軍事的安全保障を達成するのに必要な手段はシビリアンコントロールの基礎を危うくするものとみなされる(諸刃の剣)
      • 主体的シビリアンコントロールを強化しようとする努力による軍事的安全保障の基礎を危うくする例(後の引用参照)
    • シビリアンコントロールが客体的な意味において定義されるならば軍事的安全保障という目標との間の矛盾は存在しない
      • あらゆる文民グループにとって可能な最低限まで軍部の権限を弱化させる
      • 軍事的安全保障を達成する可能性をできるだけ大きくする
    • 客体的シビリアンコントロールは軍事専門職業の登場以降に出現
      • 客体的シビリアンコントロールの達成は、主体的シビリアンコントロールを依然として目標とする文民グループの傾向によって阻害される(「文民グループは、政治的に中立な将校団を全然容認したがらない。彼らは、将校団が彼ら自身の利益と原理に服従することを強要し続ける。」)
      • その結果、高水準の客体的シビリアンコントロールは近代的な西欧社会においてさえもまれな現象
例えば、文民グループが、国家政策についての軍部自身の考え方を持った個別の軍事専門職業の存在を認めなかったために、彼らは、しばしば軍部の権力の弱化が平和を維持するのに必要であると考えた。しかしながら、そのような軍部の権力の縮小は、しばしばよりいっそう好戦的な文民グループの権力を増大させる結果をもたらした。その結果、軍部の権力を減少させることによって戦争の危険をできるだけ少なくしようと試みたそれらの文民グループは、しばしば彼らがまさに回避しようと務めていたことをかえって促進させることになった。第二次世界大戦の直前の数年間に日本を除いて、その後のすべての交戦国で軍部の政治権力の組織的な縮小がみられたり、あるいは冷戦の機器の度合いがソビエト同盟の将軍たちの政治権力とは逆の方向に変化するようにみられるといった状態は決して偶然の出来事ではない
シビルミリタリーリレーションズの2つのレベル
  • 2つのレベル
    • 権力
      • 社会内部の文民グループとの関連における将校団の権力
      • 軍人の権力と文民の権力を測定するための尺度が必要
    • イデオロギー
      • 社会において支配的な政治的イデオロギーに対して職業軍人倫理が両立しうるか
      • 職業軍人倫理が多様な社会的意見に対し、どこまで適合しているかについて若干の考察が必要
  • 権力=他の人々の行動を統制しうる能力
    • 少なくとも2つの次元
      • 権力の大きさ(ある人間の特定の種類の行動が、他の人間によってどこまで統制されるか)
      • 権力の範囲ないしは所在(他の個人ないしはグループによって影響される行動の種類)
    • 権力の2つの形態
      • フォーマルな権威
        • 一定の社会構造の中で占めるそれぞれの地位を基礎にした、ある人間の他の人間に対する統制を含む
        • 属人的なものではなく、地位や職位に付属するもの
        • 一定の構成された権力、ないしは合法的な権力
        • 持続性を持った形態の関係であり、その関係に含まれる諸個人が入れ替わっても比較的一定したまま持続する関係
      • インフォーマルな影響力
        • 権威では回収し切れない権力の側面
        • 特定の個人やグループに属するもので、地位や役割に付随するものではない
    • 権威
      • シビルミリタリーリレーションズにおける権威のパターン分析の基準…軍人及び文民の各グループの権威の相対的なレベル、相対的な統一性、相対的な権力の範囲
        • あるグループの権威のレベルが高いほど、そのグループの統一性は大きく、権威の範囲も広く、強力なものとなる
        • 相対的なレベル
          • グループが政府の権威のヒエラルヒーの中で占める地位に関係
          • 将校団の権威のパターン
            • タテの統制:軍部の権威が従属的なレベルに格下げされるまでに軍部に対して行使(突然出てきた。謎。)
            • 軍or軍の指導者が軍の最高権力を行使する場合:最も高い
            • 軍が他の政府組織に対する権威を持たず、その逆もない場合:上より若干低いレベルの権威
              • 2つの並行的な権威の組織
                • 文民の権威と軍人の権威
            • 将校団が強力な究極的権威をもつただひとつの他組織に対してのみ従属している場合(将校団が最高権力に直接近づく道が開かれている場合)
              • その政府組織の機構の中で次第に一層従属させられる可能性あり
              • 一般にはそのような従属は極端に強まることはなく、
              • 通常は将校団と最高権力の間にはただ1つの権威のレベルがあるにすぎない
                • この1つのレベルは普通、文民の省大臣という形を取り、
                • このようなレベルの軍部の権威は大臣の統制と呼ぶことができる
        • 相対的な統一性
          • 一定のグループが他のグループとの関係において構造的に統合されている程度による
          • 統一性が相対的にある側のほうが有利
            • 3軍がバラバラな場合よりも、統合参謀本部のようなものがある方が、3軍を互いに競わせて漁夫の利を得るということを阻止することができる
        • 権威の範囲
          • そのグループが権力を行使することが公式に認められている価値の種類と形態に関係する
          • 軍人グループの権威は通常、軍事問題に限定
          • 水平的なシビリアンコントロール
            • 「軍が政府部内のほぼ同一レベルの文民機関ないしはグループの水平的な活動によって一定の範囲内に限定される程度におおいて、軍部に対して行使される」
    • 影響力
      • 評価の4つの尺度
        • 将校団とその指導者の集団的親密性
          • あるグループの影響力を図る上で、他の有力なグループや個人との親密性のその程度と性質
          • 将校団については3つの型
            • 軍務以前の親密性
              • もし、将校の大多数が特定の階級出身であった場合、その階級から受ける影響力は増大する
            • 議会の委員会との特別の関係や軍が消費する物資を生産している産業との特別な関係から生じる親密性
            • 退役後の親密性の発展
              • もし退役した将校が、通常みられるように、ある特殊な種類の職業に就いたり、その国の特定の地域に定住するようなパターン
        • 将校団とその指導者の権威に従属した経済的ならびに人的資源
          • 物的、人的資源が軍事目的に割り当てられる割合が大きいほど将校団とその指導者の影響力は大きくなる
            • ただし、軍の権威に従属した資源の増減が必ずしもその権威自体に何らかの変化をもたらすとは限らない
              • 軍の権威のレベル、統一性、範囲は軍の統制下の資源に変化が起こっても一定のまま持続
        • 将校団と他のグループとのヒエラルヒー的相互交流
          • 非軍人的権力機構の中で権威ある地位に将校団のメンバーが就けば、軍人の影響力は強化される(旧日本軍のパターンか?)
          • 逆に、非軍人的個人の影響力が定型的に決められた将校団内部に強く浸透する度合いに応じて軍人の影響力は弱化される(ナチスドイツ?)
        • 将校団とその指導者の威信と人気
  • イデオロギー
    • 文民グループにもいろいろあるので、ただひとつの文民的価値vs軍人的価値という二項対立は不可能
      • 軍人的価値は具体的かつ永続的、普遍的であるが、「シビリアン(civilian)」という語は単に非軍事的(nonmilitary)と言っているに過ぎない
    • 軍人倫理を文民倫理の一種である政治的イデオロギーにみられる代表的な4つと比較
      • 政治的イデオロギーは1組になった価値であり、国家の問題をめぐって志向された種々の態度である。
      • 自由主義との比較(原則、自由主義(者)を主語とする)
        • 自由主義の本質は個人主義にあり、個人の自由に与える政治的、経済的、社会的束縛に反対
          • 軍人倫理は(人間が)性悪であり、弱く、非合理であると主張し、人間は集団に従属しなければならないと主張
        • 人間同士の関係は自然状態において平和的
          • 軍人倫理は人間関係は自然状態において対立関係
        • ある企業の成功は個人のエネルギーの最大限の発露
          • 軍人にとっては服従と専門化による賜物
        • 人間性は素直なもので、教育や適当な社会制度によって改善しうる
        • 通常、進歩の存在を信じ、歴史の意義をできるだけ小さく評価する
        • 権力の存在の否定、その重要性の軽視ないしは権力を悪とみなす
          • 軍人は人間関係における権力の重要性を強調
        • 自由主義は国家の安全保障そのものを実在するものと考える
          • 軍人は国家の安全保障はいつも脅かされていると考える
        • 自由主義的思考は概して、経済や経済的福祉に感心を持ち、
        • 自由主義は大規模な軍事力や勢力均衡外交や軍事同盟に反対し、
        • 平和は国際法や国際司法裁判所、国際的機構といった制度的手段により獲得できると考える
        • 自由主義者は自由主義的理念の発展のための戦争には賛成
          • 国策の手段としての戦争は非道徳的であるが、正義と自由のための戦争は道徳的
          • 軍人は、抽象的に戦争を受け入れるが、その特殊な表現には反対
        • 自由主義は一般に、平和や立憲政治にとっての脅威として、軍備や常備軍に反対
          • 軍事機構が必要であるとしても、自由主義的原理を反映している軍事機構である必要があると考える
            • 自由主義にとってシビリアンコントロール=軍事組織に自由主義的考え方が反映されたもの
          • 国家の防衛はすべてのものの責任であり、少数者により独占されるものではない
      • ファシズムとの比較
        • ある点では類似するが、ひとつの根本的差異が存在
        • ファシストは軍人が出来るだけ効率良く戦うことを生存の事実として受け入れているところを、生存の最高の価値として賞賛する
        • ファシストは闘争を最高の人間活動として賛美する
        • 国家や政党を道徳的価値の具体化、道徳性の究極の源泉として迎える
          • 軍人倫理は民族国家をひとつの独立の単位として容認する
        • 戦争と暴力の美化
          • 軍人の思考は戦争を容認する
        • 力それ自体をひとつの目的として礼賛する
          • 軍人は力の必要性と行使を認める
        • 指導者の思考の権力と能力の強調、指導者の意思に対する服従を絶対的な義務として強調
          • 軍人倫理は社会におけるリーダシップと規律の必要性を認める
        • 人間性と歴史に関して、ファシストは選ばれた国民ないしは民族の生まれながらの優秀性、指導者の固有の天才及び思考の美徳が存在すると信じる
          • 軍人は人間の普遍性を強調し、軍人の思考はすべての人間を疑ってかかる
        • 直感の重視
          • 秩序だった知識や実際的、経験的な現実主義の効用ないしは必要性をほとんど認めない
          • 軍人は歴史と理性に対する自由な信頼から学ぶ
        • 外的な障害に対する意思の力の勝利を称揚する
          • この点では自由主義的であるが、ファシズムは強力な軍事力の維持を心から支持する
            • 自由主義者は理想のために戦い、軍人が国家の安全の保証のために戦うのに対して、ファシズムは戦いのために戦う
        • 他のすべての社会組織の国家や政党への内的従属の存在への確信
          • 職業軍人についてはそれに固有のイデオロギー的色彩を持つべきと考える
        • ファシズムは自由主義より軍事組織を政治と無関係にしておくことはないが、国家から遊離した潜在的な権力の源泉の存在に対しては敵対視
        • 国民総武装に賛成
      • マルキシズムとの比較
        • マルクス主義の人間観
          • 軍人倫理の人間観とは根本的に対立
          • 基本的に善で合理的、悪しき制度によて堕落している、自然状態では平和である…これらが有史以前の人間
        • 人間同士の根本的な差別は否定するが、現段階においてはプロレタリアが進歩的
        • 歴史の綿密な研究
          • 正反合の繰り返しには循環的要素を認めるが、歴史の基本的な道筋は直線的
        • 闘争の本質への洞察
          • 軍人とは違い、階級闘争にのみ集中
        • 全ての重要な事件は経済的な力により決まる
          • 軍人は歴史における偶然と人間的自由の役割を容認
        • 一元論的な歴史観
          • 軍人は多言論的な歴史観
        • 程度の差はあれ、ユートピア的世界の実現で歴史が終息するという信念
          • 軍人の見方とは異なる
        • 経済力の重視
          • 軍人は武力を重視
        • 階級を基本的な集団とする…水平的
          • 軍人は民族国家を基本的な集団と考える…垂直的
        • 国家を階級闘争の手段と考える
        • 経済的帝国主義が国家間の戦争の源であり、唯一許される戦争は階級戦争のみであり、階級の道具としての軍事力のみ容認
        • 普遍的な軍隊の価値や形態の否認
          • すべての軍隊の性格は、階級的利益にそうことを求める
      • 保守主義との比較
        • 軍人倫理との親和性の高さ
          • 人間、社会、および歴史についての理論、人間関係における力の役割の認識、現存の制度の受容、限定的目標、遠大な計画に対する不審という点で、軍人倫理と一致
        • 他の3つと異なり、一元的ではなく、普遍主義的でない
          • すべての問題、すべての人為的諸制度に対して、同一の考えを適用しない
          • 種々の目標と価値を認める
        • 4つのうち保守主義だけは、軍事的機能の要求に発するところの軍人的諸価値との不可避な葛藤に、それ自身の論理により巻き込まれることはない
        • 軍事組織を規定すべき政治的・イデオロギー的方式を持たない
        • 軍人倫理vs自由主義、ファシズム、マルクス主義、の構図に対し、軍人倫理と保守主義の間には元来、類似性と両立性が存在する
客体的シビリアンコントロールの均衡
  • ミリタリープロフェッショナリズムと客体的シビリアンコントロールをできるだけ強めるような、文民軍人グループの権力分配は社会のイデオロギーと職業軍人倫理との両立性による
    • 反軍的イデオロギーの場合
      • 軍人はプロフェッショナリズムの犠牲にし、その社会に支配的な価値や態度を固守することによってのみ、実質的な政治権力を獲得する
      • ミリタリープロフェッショナリズムとシビリアンコントロールは権威や影響力を軍人が放棄し、軍人を一般社会の生活から切り離された力の弱い孤立した存在にすることによって極大化される
    • 親軍的イデオロギーの場合
      • 高度なミリタリープロフェッショナリズムと一般社会の両立に障害なし
      • 客体的シビリアンコントロールの実現は軍人の権力と社会のイデオロギーとの間にある適当な均衡が達成されるかどうかにかかっている
  • 多元的社会では権力は主義を和らげ、一定の教条的でかたくなな価値体形を信奉する人々は、権力からしめだされるということは「自明の理であ」り、融通性あり、喜んで調整に応じ、妥協する用意のある人だけが、広範な支持を得ることができる
    • つまり、権力は常に一定の犠牲により得られるものである
    • 権力の代償として軍人が支払う犠牲は、軍人倫理とイデオロギーとのギャップに依存
    • 反軍的な社会におかれた軍人は権力を獲得できるかもしれないが、職業軍人倫理はそうはいかない
      • 「社会主義者は勝利するかもしれないが、社会主義は決して勝利しないであろう」(ミヘルズ、『政党』)の援用
  • 権力とプロフェッショナリズム、イデオロギーの間の関係は流動的
    • 客体的シビリアンコントロールの本質である、権力とイデオロギーとの間の均衡は困難
    • いかなる専門的職業でも、その専門的職業に固有の抱負とそれが巻き込まれうる外部からの政策との間にある、一種の緊張関係がみられるが、軍人の場合は、危急の際に掌握すべき権力とその重大性ゆえに、よりこの緊張が強まる
    • 専門職業上の成功ゆえに、政治に関わり合うことが促進され、それ自身の没落を引き起こす
    • 専門職業的な能力と、専門職業への忠順という価値を追求する専門職業人と、権力それ自体を目的として追求する政治家とは、根本的に異なる人間であるが、どのような集団にも両方の要素が存在し、その結果、両者の緊張は切り離すことができない
  • 反軍的イデオロギー
    • 軍事安全保障の要求や権力への渇望が軍人やグループに政府内で支配的役割を果たす必要性を生じさせた
    • しかし、その達成は専門職業的考えの放棄によってのみ可能
      • しかも、これらの軍人やグループは最も際立った、政治と関わりを持った軍人たちであったので、彼らの態度は、非軍人グループによってしばしば軍人的思考の典型をなすものとみなされてきた
        • ex>ド・ゴール、ルーデンドルフ、マッカーサー
        • これらの軍人が往々にして「軍人精神」の代表的な例として考えられている
シビルミリタリーリレーションズの諸形態
  • 5つの異なった理想型に分類できる
    • 理論上、親軍/反軍イデオロギー 、軍部の権力の強弱、ミリタリープロフェッショナリズムの高低の2x2x2=8(通り)が考えられるが、以下の3通りは除外
      • 反軍的イデオロギーx軍部の強い権力x高度のミリタリープロフェッショナリズムはありえない
      • 親軍的イデオロギーx軍部の弱い政治権力x低いミリタリープロフェッショナリズムや親軍的イデオロギーx軍部の強い政治権力、低いミリタリープロフェッショナリズムは滅多にない
    • 反軍的イデオロギーx強い軍部の政治権力x低いレベルのミリタリープロフェッショナリズム
      • 一般にミリタリープロフェッショナリズムが後退している、より原始的な諸国において、あるいは、進歩した国々でも国家の安全保障に対する脅威が戸発的に増大したり、軍部がその政治権力を強化するときに認められる。
        • ex>日本やWW1のドイツ、WW2のアメリカ合衆国
    • 反軍的イデオロギーx弱い軍部の政治権力x低いレベルのミリタリープロフェッショナリズム
      • ここでは社会のイデオロギーが非常に強烈に追求されているため、軍部が政治権力をどれほど弱めても、軍部がイデオロギーの影響力を免れることが不可能であるようなところにのみ現れる
        • ex>近代の全体主義国家におけるシビルミリタリーリレーションズ、WW2のドイツ
    • 反軍的イデオロギーx弱い軍部の政治権力x高度のミリタリープロフェッショナリズム
      • 安全保障に対する脅威にほとんどさらされていない社会のシビルミリタリーリレーションズの形態
        • ex>南北戦争後のミリタリープロフェッショナリズムの台頭からWW2初期までのアメリカ
    • 親軍的イデオロギーx強い軍部の政治権力x高度のミリタリープロフェッショナリズム
      • 絶えず安全保障の脅威にさらされていて、軍人的価値に同情的なイデオロギーを持った社会は軍部に高水準の政治権力を許容することがあり、しかも依然として、ミリタリープロフェッショナリズムと客体的シビリアンコントロールを維持することがある
        • ex>ビスマルク-モルトケ時代のプロイセン=ドイツ
    • 親軍的イデオロギーx弱い軍部の政治権力x高度のミリタリープロフェッショナリズム
      • 安全保障の脅威から比較的免れていて、保守的イデオロギーあるいはその他の軍人の考え方に同情的なイデオロギーによって支配されている社会に現れる可能性がある
        • ex>20世紀のイギリス

2012年2月18日土曜日

ぽぽったー、公開してみたいと思います。

ぽぽったーを公開してみようと思います。
まだテストは十分とは思えないので、落ちても、何しても怒らないでください。完全人柱。
(自分が使った限りでは特に何もなかったけど、例外処理に漏れがある可能性は大です)
使い方その他は、tar.gzに梱包してあるのでご参照ください。
[ちょいちょい、更新します]

バージョン0.8安定版
tar.gz
popotter-0.8-stable01.tar.gz

Subversionレポジトリ
https://subversion.assembla.com/svn/popotter/tags/0.8-stable/

バージョン0.9開発版
tar.gz

Subversionレポジトリ
https://subversion.assembla.com/svn/popotter/trunk/

更新履歴的なの。
0.8-stable01
  • 安定版に移行(以後、新機能追加はせず、バグ取りのみに専念)
  • detail usr 機能をツイート番号によるユーザー情報取得も可能に。
  • .popotter_rcにTwitter時間のUTCとの時差の記述および読み取り機能。
0.8-dev07
  • setupコマンドの例外処理を施す
0.8-dev06
  • バージョン管理の方法を改訂(setup.py直書き→const.py)
0.8-dev05
  • detail twで公式RTが指定された場合は、RT元のツイートの情報を表示するようにした
  • 連投機能(loopコマンド)搭載

0.8-dev04
  • 念願の(!)RT削除機能を搭載

dev03
  • 公開開始

ハンチントン『軍人と国家』-2

職業軍人倫理


人間、社会、歴史

  • 軍事専門職業の存在前提
    • 相対立する利害+それらを冗長するための暴力の行使
  • 軍人倫理は紛争を自然界にみられる普遍的なパターンとみなす
    • 暴力は人間の永続的な生物的・心理的性格に根ざすものと考える。
  • 善と悪では悪を重視する[性悪説的か]
    • 人間は利己的で、力、富、安全を求めて駆り立てられる→闘争へ
  • 人間の強さと弱さのうち(どちらかといえば)弱さを強調する
    • 人間の弱さ→組織、訓練、指導によて闘争に勝利する…これを重視
      • 「すべての戦争は人間の弱さを前提としている。そして戦争は弱いものに向かってなされる。」(クラウゼヴィッツ)
    • 並の人間では英雄になれないことを職業軍人は自覚
    • 戦争指導に内包された不確実性や偶然、敵の行動を予測することの困難さ[戦場の霧・摩擦]→人間の予見や統制の領域において軍人を懐疑的にする
  • 人間の理性と非合理性のうち、理性の限界を強調する
    • 「戦争は、不確実性の領域である。戦争における行為が基礎としている事柄のうち4分の3は、多かれ少なかれ不確実性の霧の中に画されている」(クラウゼヴィッツ)
    • 人間性は普遍的・不変的
  • 軍人の人間に対する考え方…悲観主義的:人間はホッブズ的
  • 軍事専門職業の存在の前提…(互いに競争する)民族国家の存在
    • 国家の軍事的安全保障の増進が責任
      • 社会全体への奉仕→個人よりも集団を強調
        • いかなる活動における成功も、集団意思への個人意思の服従を要求
        • 伝統、士気、団結、協調性…軍人の価値体型の中で高位を占める
        • 精神の協調性…根本的には反個人主義
  • 専門的職業としての軍事職業
    • ひとつのまとまった専門的知識を創り上げるところの蓄積された経験の存在
    • 人間は経験からのみ学ぶという考え
      • 自分だけの経験では不足
      • したがって、他人の経験から学ぶ→歴史研究へ
      • 軍人倫理…体系的かつ合目的的な歴史研究に、多大な価値を与える
        • 歴史は将来に適用される原理を発展させる場合においてのみ軍人にとって価値がある
        • 歴史理論からの解放
        • 一元的解釈の排斥、力の重要性を重視
          • 戦争と平和、攻撃的戦争と防衛的戦争はシーソーゲーム
国家軍事政策
  • 国家政策に対する軍人の考え方…軍事的安全保障に対する専門職業上の責任を反映
    • 国家=政治組織の基本単位
    • 国家の軍事的安全保障に対する脅威の持続的性格の重視
    • 安全保障に対する脅威の重大性と緊急性の強調
    • 強力かつ多様な常時利用可能な軍事力の維持への支持
    • 勝利が確実な場合を除けば、国家が戦争に関わり合ったり、それに巻き込まれることに反対
民族国家の優位性
  • 民族国家の存在に依拠する軍事専門職業
    • 軍事機構を維持する事実上唯一の存在
  • 民族国家=政治組織の究極的形態とみる傾向
    • 軍事力の維持・使用を正当化するものは国家の政治目的のうちに存在
  • 戦争は政治目的の手段
    • 国家の目的はそれ自身の破壊ではない
      • 「全面戦争」や「絶対戦争」は相互の荒廃をもたらしうるなら回避せねばならない
不安全の永続性と戦争の不可避性
  • 戦争の究極的回避の不可能性
    • 軍人は戦争の抑止を意図した制度的手段には懐疑的
      • 決定的要因は常に、諸国家間に存在する力関係
      • 外交はそれを隠しているに過ぎず、国際的な力関係を反映している限りにおいて有効
安全保障に対する脅威の重大性と緊急性
  • 軍人の国家に対する脅威の持続的性格の認識
  • 現在の危険の急迫性も強調
  • 軍人はその専門的能力の目標ゆえ、できるだけ正確に評価する必要あり
  • 同時に軍事的安全保障に対する危険を強調する専門職業上の利害と義務
    • どちらか一方になる
  • 主観的専門職業的偏見
    • 危険を過度に強調する傾向
  • 安全保障への脅威の評価
    • 他国の能力を評価する
    • 他国の意図は専門外…政治の領域
      • あらゆる場合を想定した計画立案
軍事力の水準とその源泉
  • 軍事力の拡張・強化志向
    • 軍事費の増大
    • 軍事的資源(経済、人口)の実際的な軍事力への換算
  • 銃後の生産能力より正規部隊の重視
  • ありとあらゆる事態への対応能力を要求
    • 実際には全てには対応不能→軍人は軍事的優先度の順位確立が必要
  • 安全保障体制や同盟による国家防衛への志向
    • プラスとなる限りにおいて
    • 純粋に国家安全保障上の利害に基づく(イデオロギーでも政治でもない)
  • 国力は領土拡張により強化しうる
    • 国力の増大につながらない領土は不要
誓約の制限と戦争の回避
  • 政治目標の妥当性は関心対象外であるが政治目標と軍事的手段の関係に感心
  • 政治家は国家の軍事的能力を超えて国家をコミットさせすぎることを警戒すべき
  • 「(政治目的は)それゆえに、専制的立法者ではない。つまり政治目的は、手段の本質にそのまま順応しなければならない。」(クラウゼヴィッツ)
  • 政治家は国家政策にダイナミックで意味のある要素の付与
  • 軍人は受動的で役立つ手段を代表
    • 政治家の目的が軍人の手段を超えたときに、政治家に警告することは機能
  • 軍人は攻撃的好戦的な行動に反対
    • 職業軍人は国策の決定に対しては慎重で保守的
    • (戦争になって一番被害を被るのは軍事組織である)
    • 軍人は戦争好きの部民の犠牲になると考える傾向
      • 戦争を始めるのは、国民であり、政治家であり、世論であり、政府である
      • これらに対して戦う必要あり
      • 軍隊自体は戦争を引き起こすことはない
        • 平和を希求する国家は十分な軍備が必要
          • 力の弱い国家は攻撃を招きやすい
        • 文民の政治は軍事予算の抑制と同時に、冒険主義的体外政策を追求し、人気を得ようとする傾向がある
          • 軍人はこれらに反対
軍部と国家
  • 軍事職業は専門的
    • その中では専門的、その外では非専門的
  • 政治は国家政策の目標を取り扱う
    • これは、軍人の能力を超越したもの
    • 軍の将校が政治に関与することは、そのプロフェッショナリズムの基礎を危うくし、専門的能力を喪失させ、自らに不利なように専門的職業を分割し、専門職業上の価値を無関係な価値で置き換えてしまう
    • ゆえに、将校は政治的に中立を維持せねばならない
  • 軍事科学の領域は政治の領域に従属し、独立している
    • 軍事専門職業は国家目標に奉仕する
  • 軍人は政治から政治目標を与えられることを期待する権利がある
    • シビリアンコントロールは政策の目的に対する一つの独立した専門的職業のこのような適切な従属がみられるときに存在する。
  • 国家に対する軍人の責任の3重の性格
    • 代表的機能
      • 国家内において軍事的安全保障の要求を表現
      • 軍と他の部門との資源分配を担当する公的機関に対して、考え方を提示する権利義務を有する
    • 助言的機能
      • 国家の取る行動に軍人としての観点から分析、報告
        • 決定はもちろんできない
    • 執行的機能
      • 軍人としての判断に真っ向から対立するような決定であっても、軍事的安全保障に関する国家の決定を補完する
      • ベストを尽くす
  • 政治的考慮は軍事的考慮に優先する
    • 純軍事的に見える決定も政策と関連している可能性に注意の必要あり
  • 軍隊という職域全体およびその軍事力は、国家政策の有効な手段として構成
    • 政治的決定は上(政治)からのみ来る
      • 軍隊という専門職業が服従のヒエラルヒーとして組織される
      • 即座の忠実な服従をほしいままにする必要(政治的決定が組織の内部で改変されてはならない)
        • これがなければ、ミリタリープロフェッショナリズムは不可能
      • 上からの合法的な命令はその意図を問わず直ちに実行される
      • 専門的能力という理想からみた軍人としての中世のいが不変的で一様
      • この理想により動機付けられたものが最も有能な将校団
        • 軍人としての理念に動機付けられた場合にのみ、軍隊は国家の忠実な奉仕者になるし、シビリアンコントロールも確保される
      • 専門職業的な将校団は徴募された人々の服従を確保することを目的とした国家の手段
軍隊における服従と専門職業上の権限との関係
  • 軍隊における服従と専門的能力の間の矛盾
    • 上官の命令に従えば、軍事的災害が起こると部下が考える場合
      • 服従の目的は上官の目的を促進すること
      • 上官の目的が部下に十分理解されており、かつ、部下が上官の知り得えない状況から考えて、その命令を実行しないほうが上官の目的を益する場合のみ、不服従を正当化しるう。
      • しかしこれはまれなケース
    • 運用面以外の教義上の問題を含む場合
      • 厳格で融通の聞かない服従は新しいアイディアを阻害
        • 歴史的に見て、そのような硬直性ゆえに現状にそぐわない戦術・技術の改良を妨げたことがある
      • 答えは難しい
        • 上級将校の権限は、優れた専門的能力を反映していることが前提
          • そうでない場合は、指揮のヒエラルヒーは非専門職業的目的のために濫用されている
          • 部下は教範よりも優れた考えを持っていることを主張する必要
          • それが指揮系統の分裂によるコストを補ってあまりあるベネフィットをもたらす場合はその不服従は正当化される
        • 究極的には専門職業的権限が最後の判定基準
軍隊における服従と非軍事的価値
  • 軍隊における服従と非軍事的価値と間の問題
    • 将校が国家的災難をもたらすことが明白な命令を政治家から受けた場合の将校の責任
    • 4つのグループ分け
      • 軍の能率を劇的に増大させる場合の不服従は容認されたが、それとパラレルな政治家と上級指揮官の関係はあるか?
        • 軍の能率は限界があり具体的、比較的客観性があるのに対し、政治的知識は限界を持たず、曖昧で主観的で正確が違う
        • 将校の政治的判断が政治家のそれよりも優れていることを証明しうる一般的な政治的価値というのは存在しない
        • 政治家の優れた政治的知識は、事実として受容する必要あり
        • 「ヒトラーに対する抵抗に参加したドイツ軍将校もマッカーサー将軍も、戦争と平和の問題を決定することが軍人の機能でないことを忘れたのであった。」(本文より)
      • 軍人の能力発揮が政府上層部によって脅かされるとき
        • 軍人がその専門的基準から判断すると、軍事的かつ政治的に意味をもたらさない、厳密に軍事的領域に属する手段を取る命令を政治家から受けた場合
          • 軍人本来の専門領域の明らかな侵害ゆえに軍人の不服従を正当化
      • 中間的な場合
        • 》自称《合法的に行動している政治家から命令を受けた場合
          • 専門家集団としての法務官に一任
          • 緊急でそれが間に合わない場合
            • 将校が政治的選択をするしかない
      • 基本的な道徳性との対立
        • 倫理的基準を判断し、適用する能力においては、政治家も将校も対等
          • しかし、政治家は国家の政治的利益助長のために一般道徳を無視することを強いられていると考えられるう場合がある
            • その場合、最も極端な例を除けば、服従すると期待するのが合理的である

    2012年2月16日木曜日

    【緩募】ぽぽったーを試用していただける方【失効】

    ちまちまと開発を進めてる、ぽぽったーですが、ちょっと触ってみたいという方がいるような、いないような、という感じなので、一応、「試用いただける方」ということでゆるーく募集したいと思います。


    募集要項
    • Twitterのアカウントをお持ちであること
    • 使用可能なインターネット接続をお持ちであること
    • (冗談はここまで)
    • Pythonとそのモジュールのtweepyを使用できる環境(物理的環境/OS/インストールの可否含む)をお持ち、ないしは、用意できること
    • DMで連絡の取れる方であること(ダウンロードのURLをお教えします)
    • Subversionでのみの配布となるので、Subversionのクライアント(任意)を使用できる、ないしは、使用する気をお持ちであること
    • DMで利用可能なメールアドレス(PC推奨)をぽぽに教えていただけること
      • Subversionのレポジトリへのアクセス権限付与にメールアドレスが必要
      • レポジトリのサイトへの登録が必要かもしれません(DMとかは特に来ない)
      • 必要な手続きが終われば、DMは削除していただいて構いません
    • ぽぽったーが落ちてもキレない心をお持ちであること
    • [懇願]バグや要望、改善点などを教えていただけると嬉しいです。
    本公開しました。

      2012年2月7日火曜日

      ハンチントン『軍人と国家』-1

      専門的職業(profession)を職業(vocation)と区別・特性づける3つの要素
      • 専門技術(experitise)
        • 専門的職業人は特定の知識と技能もつ専門家
        • その専門技術は長期に渡る教育と経験により獲得される
          • 専門的能力の客観的基準→普遍的
        • 知識や技能についての基準→時と場に無関係に一般的な適用が可能
        • 専門的知識は元来知的なもの
          • 記録して保存しうるもの
            • 技能や技術は現在においてのみ存在
          • ひとつの歴史を有し、その歴史に関するある種の知識は職業的能力に必須
          • 専門的知識や技能の拡張や伝達のためには研究や教育の機関が必須
            • 新聞、雑誌、会議および実務-教育間の人的交流により、あるショック業のアカデミックな分野と実務的分野との接触が維持される
        • 職業専門的な専門技術には普通の商売に欠けている幅(breadth)という次元がある
          • 「幅」=その社会全体の文化的伝統の一部である。
          • 職業人は、自分が置かれているこのような広い伝統を意識しているときにのみ、自分の技能をうまく適用することができる。
        • 習得された専門的職業は「学ばれる」もの
          • 社会全体の学習組織の一部であるから
        • 職業教育の2つの側面
          • 広い、リベラルな文化的素養を与えること。
            • @社会の普通教育の機関
          • その専門的職業についての専門的な知識や技能を与えること。
            • @専門的職業自体が運営するorそれと密接な関係にある特別な機関
      • 責任(responsibility)
        • 専門的職業人は、社会が機能する上で書くことのできない健康や正義の増進といった業務を遂行するところの、ある社会的な関連のもとで働く実務的な専門家。
          • すべての職業の顧客は、個人・団体を問わず社会そのものであるが、その職業が社会の存立や機能にとって欠くべからざる必要性を持っていない場合は職業的専門人ではない。
        • その仕事が社会にとって有する必須かつ一般的な性格とその技能の独占が、その専門的職業人に、社会のその仕事を要求するときに、その仕事を遂行する責任を課すことになる。(ややこしい日本語なので私の理解を元に改めた)
      • 団体性(coporateness)
        • 専門的職業の成員は有機的統一体の意識と素人とは別種の集団であるという自覚を共通に持っている。
          • 専門的職業能力に必要な長期間の教育・訓練・共通の仕事の結びつき、および特有の社会的責任を共有していることに起因
          • 統一体の意識の表れ
            • 専門的職業的能力の基準の定式化・適用
            • 専門的職業上の基準を確立・強制する専門的職業組織そのもの
        • 専門的職業組織の一員であること
          • 専門的職業人としての資格
          • 素人から公にはっきりと区別された専門的職業人かどうかを判定する基準。
            • 専門技術+責任に加えて
        • 専門職業的能力が何の関連もない領域で発揮されることを成員に対して禁じる
        • 種々の理由により専門職業的能力を持っているのだと主張する部外者に対し自らの保護を要求する
        • 協会組織or官僚組織の形態を取る
      軍事専門職業
      • 将校という専門的職業はプロフェッショナリズムの基本的な基準に合致
        • 将校がプロフェッショナリズムの理想に近づくほど最も強力かつ効果的
          • 逆もまた然り
      • 将校の専門的技術
        • 「暴力の管理(The management of violence)」(by ハロルド・ラスウェル)に要約できる
        • 軍事力の機能=武力を使った戦いを成功させること
        • 将校の業務
          • 軍事力の編成、装備および訓練
          • 軍事活動の計画
          • 戦闘の内外でその作戦を指揮すること
        • 第一の機能が暴力の適用であるような人間組織を指揮し、動かし、統制すること=将校に特有の技能
          • 陸海空軍の将校に共通
          • 近代軍隊に存在する他のスペシャリストから軍将校を区別
        • 将校の技能は、総合的な研究と訓練を要する極めて複雑な知的技能
          • 技巧(クラフト、主として機械的なもの)や手法(アート、独得の譲渡し得ない能力)でもない。
          • 暴力それ自体の行使ではなく、暴力の管理である
            • 暴力の行使主体は下士官兵
        • 職業軍人の能力についての同一の基準は時と場を問わない、普遍的なもの
        • 将校という専門的職業は歴史を持つ
        • 暴力の管理は単に現存の技術を学ぶことでマスターされるものではない
        • 軍事技能をマスターするには、一般文化についての広範な素養が必要である。
          • 歴史のある段階における暴力の組織化と適用の方法は、そのまま、その社会全体の文化の類型と関連している。
      • 将校の責任
        • 社会は将校の専門技術たる暴力の管理が、社会的に認められた目的のためのみに利用されることを要求する
          • 将校が自己の都合のよいように専門技術を使用すれば、社会組織が破壊される
        • 将校の技能は暴力の管理であり、その責任はその顧客たる社会の軍事的安全保障である。
        • 将校の動機付け
          • 技能に対する愛情
          • 技能を社会の利益のために利用するという社会的義務観念
            • 金銭ではない
              • 十分な報酬は上の動機付けを確実にしうるだけ
            • (熱烈で一時的な愛国心に鼓舞されるが、暴力の管理においては自己を完結させようという確固とした永続的な希望を持っていない)市民兵でもない
        • 知的技能は厳しい研鑽によりマスターされ、
        • 人間との関連において技術的知識を適用することによりテストされる。
          • 経済的手段により規制されるものではない
            • したがって、将校は、同僚・部下・上官および国家に対する自らの責任を示すような明確な手引きを必要とする(よくわからない。)
              • 軍隊機構内部における将校の行動は、数多くの複雑な規則や習慣、伝統により縛られる。
        • 社会との関連における将校の行動は、自らの技能が、その政治的代行者である国家を通じて社会的に認められた目的に対してのみ用いられるのだという意識によって導かれる
        • 将校の責任は第一に国家に対して存し、将校の国家に対する責任は、専門的技術のアドバイザーとしての責任
        • 将校は自分の専門的能力の範囲を超えて他と関わりを持った決定をその顧客に押し付けることはできない
          • 将校は専門領域において顧客の必要とするものを説明し、
          • どうすればこれらの要求を満たしうるかについて顧客に助言を与え、
          • 顧客が自分の決定を行ったときには、その決定を実施する上で顧客を援助しうる
          • だけである。
      • 将校制度の団体的性格
        • 将校制度は公共的な官僚化された専門的職業である
          • その専門的職業に就く法的権利は、慎重に確定された団体の成員にのみ与えられる
        • 将校団は国家の創造物以上のものである
          • 安全保障という機能的命題が将校団を1つの自律的な社会単位に仕立て上げるような複雑な専門的職業上の諸制度を生み出す
            • この社会単位に入るのは必要な教育・訓練を経て、最低限の専門職業的能力を有する人々に限定
        • 将校団の団体的構造には社交クラブ、協会、学校、…も含まれる
        • 将校団は肉体的社会的に閉鎖的
        • 将校と素人or文民との区別は、公には制服と階級章による
        • 将校団の官僚組織性(引用別記)
        • 非専門職業的な「予備役」
          • あくまで補充に過ぎない。
            • 国家が危急の際に必要とされる規模の将校団を国家が常時維持することができないゆえ
          • 永続的な将校団への加入は制限を受ける
          • 予備役は生え抜きの(おそらく、eliteの訳)将校の専門職業的技能レベルに達することはない
          • ゆえに予備役の大多数は階級組織の中では以前よりは低い階級に付けられ、より上位の階級は生え抜きの将校により独占される
            • 生え抜き将校は集団として、その専門職業的能力ゆえに予備役を専門職業的技能や伝統の面での教育・教化を任される
          • 予備役は一時的に専門職業上の責任を果たすに過ぎない
            • 予備役の人の基本的な社会的機能は別のところにある。
              • 動機、価値、行動はしばしば生え抜き将校のものとはしばしば著しく異なる
        • 下士官兵との区別
          • 官僚制機構の一部であるが、専門職業的官僚制の一部ではない
            • 徴兵により集められた兵は将校のような知的技能や専門職業的な責任のいずれも持っていない
            • 下士官兵は暴力の使用においては専門家ではあるが、暴力の管理の専門家ではない
            • 彼らの職業は、商売(trade)であって、ここでいう専門的職業(profession)ではない
          • これらは将校団と下士官との根本的な差異を形成
            • この差異は世界中の軍隊において両者の間に普遍的に画される明確な一線に反映されている
              • もしこの断層がなければ、単一の軍隊的ヒエラルヒーがあるだけである
            • 実際は、組織のヒエラルヒーを不連続である
              • 下士官兵の中に存在する階級は職業専門的ヒエラルヒーを構成していない
            • 下士官兵の階級の上下は将校団のものより流動的
            • 将校と下士官兵は相互に移行を排除
              • 例外はある
            • 将校の資格として必要な教育・訓練は、下士官のしての長期間の軍務とは通常比べものにならない
      引用:
      将校団は、官僚的専門職業であるとともに官僚的組織である。この職域の内部においては、能力の大小は階級のヒエラルヒーによって区別される。また、この組織の内部においては、業務は職位のヒエラルヒーによって区別される。階級は、個人に備わったもので、経験、年功、教育および能力によって測られた彼の専門的職業上の業績を反映している。ある階級への任命は、通常、国家によって決められた一般原則を用いて少公団地震によって行われる。補職は、通常、階級の任命に比べると外部的影響をある程度受ける。あらゆる官僚制において、権威は職位に由来する。また、専門職業的官僚制においては、職位に就く資格は、階級に由来する。将校は、その階級に応じて一定の業務や機能を果たすことが認められる。彼はある職位に補職されたがゆえに、階級を受け取るのではない。実際には、この原則に対する例外は存在するけれども、将校団の専門職業的性格は、職位のヒエラルヒーに対して、階級のヒエラルヒーを優先させることにある。

      2012年2月1日水曜日

      freerdpは私向き

      freerdpなるRDPクライアントソフトがあるとの電波を受信したので早速インストールした。
      端末からxfreerdpで起動できまする。使いたい人のためにざっとオプションを翻訳。
      • Usage: xfreerdp [options] server:port
        • 使い方:xfreerdp [オプション] サーバ:ポート
      • -a: color depth (8, 15, 16, 24 or 32)
        • 色の深度(8, 15, 16, 24, 32)
      • -u: username
        • ユーザ名
      • -p: password
        • パスワード
      • -d: domain
        • ドメイン
      • -k: keyboard layout ID
        • キーボードレイアウトID
          • 自動で選んでくれるから基本いらないはず。
          • たぶん下の--kbd-listと併せて使う。
      •  --kbd-list: list all keyboard layout IDs
        • キーボードレイアウトIDをすべてリスト表示する
      • -s: shell
        • シェル
          • 標準シェルのExplorerに代えて別のアプリをシェルとして使う場合に使用するオプション[manページ]
      • -c: directory
        • ディレクトリ
          • 初期の作業ディレクトリを指定。-sと併せて使うことしばしば[manページ] 
      • -g: geometry, using format WxH, default is 1024x768
        • 解像度 幅x高さのフォーマットで指定。デフォルトは1024x768
      • -t: alternative port number, default is 3389
        • 代替ポート番号。デフォは3389
      • -n: hostname
        • ホストネーム
          • サーバに報告されているクライアントのホストネーム。通常はアプリが自動的に取得する[manページ]
      • -o: console audio
        • コンソールオーディオ
          • 音をサーバ側で再生する
      • -0: console session
        • コンソールセッション
          • わからん
      • -f: fullscreen mode
        • フルスクリーンモーーーーーーード
      • -z: enable bulk compression
        • バルク圧縮を有効にする
          • 暗号化RDPのデータストリーム内での圧縮を有効にする
      • -x: performance flags (m, b or l for modem, broadband or lan)
        • パフォーマンスフラグ(m=モデム、b=ブロードバンド、l=LAN)
      • --no-tls: disable TLS encryption
        • TLS暗号化を無効化
      • --plugin: load a virtual channel plugin
        • プラグインが使えるらしい。今のところ使えるのは次のやつ。[manページ]
          • --plugin cliprdr
            • クリップボードのサーバ-クライアント間の共有
          • --plugin rdpdr --data <subplugin>
            • <subplugin>
              • disk:<共有名>:<共有するディレクトリのパス>とすると、\\tsclient\<共有名>としてサーバにクライアントのディレクトリがマウントできる。
              • printer[:<printername>[:<driver>]]でプリンタの共有
              • 同様にserialやparallelってのもあるよ。
          • --plugin drdynvc --data <subplugin>
              • よくわからないけど、<subplugin>に入れられるのはaudinというのだけらしい。クライアントで録音した音がサーバに行くらしい。(Windows 7, 2008, 2008 R2のみ対応)
      • --no-osb: disable off screen bitmaps, default on
        • スクリーンビットマップを無効にする