人間、社会、歴史
- 軍事専門職業の存在前提
- 相対立する利害+それらを冗長するための暴力の行使
- 軍人倫理は紛争を自然界にみられる普遍的なパターンとみなす
- 暴力は人間の永続的な生物的・心理的性格に根ざすものと考える。
- 善と悪では悪を重視する[性悪説的か]
- 人間は利己的で、力、富、安全を求めて駆り立てられる→闘争へ
- 人間の強さと弱さのうち(どちらかといえば)弱さを強調する
- 人間の弱さ→組織、訓練、指導によて闘争に勝利する…これを重視
- 「すべての戦争は人間の弱さを前提としている。そして戦争は弱いものに向かってなされる。」(クラウゼヴィッツ)
- 並の人間では英雄になれないことを職業軍人は自覚
- 戦争指導に内包された不確実性や偶然、敵の行動を予測することの困難さ[戦場の霧・摩擦]→人間の予見や統制の領域において軍人を懐疑的にする
- 人間の理性と非合理性のうち、理性の限界を強調する
- 「戦争は、不確実性の領域である。戦争における行為が基礎としている事柄のうち4分の3は、多かれ少なかれ不確実性の霧の中に画されている」(クラウゼヴィッツ)
- 人間性は普遍的・不変的
- 軍人の人間に対する考え方…悲観主義的:人間はホッブズ的
- 軍事専門職業の存在の前提…(互いに競争する)民族国家の存在
- 国家の軍事的安全保障の増進が責任
- 社会全体への奉仕→個人よりも集団を強調
- いかなる活動における成功も、集団意思への個人意思の服従を要求
- 伝統、士気、団結、協調性…軍人の価値体型の中で高位を占める
- 精神の協調性…根本的には反個人主義
- 専門的職業としての軍事職業
- ひとつのまとまった専門的知識を創り上げるところの蓄積された経験の存在
- 人間は経験からのみ学ぶという考え
- 自分だけの経験では不足
- したがって、他人の経験から学ぶ→歴史研究へ
- 軍人倫理…体系的かつ合目的的な歴史研究に、多大な価値を与える
- 歴史は将来に適用される原理を発展させる場合においてのみ軍人にとって価値がある
- 歴史理論からの解放
- 一元的解釈の排斥、力の重要性を重視
- 戦争と平和、攻撃的戦争と防衛的戦争はシーソーゲーム
- 国家政策に対する軍人の考え方…軍事的安全保障に対する専門職業上の責任を反映
- 国家=政治組織の基本単位
- 国家の軍事的安全保障に対する脅威の持続的性格の重視
- 安全保障に対する脅威の重大性と緊急性の強調
- 強力かつ多様な常時利用可能な軍事力の維持への支持
- 勝利が確実な場合を除けば、国家が戦争に関わり合ったり、それに巻き込まれることに反対
- 民族国家の存在に依拠する軍事専門職業
- 軍事機構を維持する事実上唯一の存在
- 民族国家=政治組織の究極的形態とみる傾向
- 軍事力の維持・使用を正当化するものは国家の政治目的のうちに存在
- 戦争は政治目的の手段
- 国家の目的はそれ自身の破壊ではない
- 「全面戦争」や「絶対戦争」は相互の荒廃をもたらしうるなら回避せねばならない
- 戦争の究極的回避の不可能性
- 軍人は戦争の抑止を意図した制度的手段には懐疑的
- 決定的要因は常に、諸国家間に存在する力関係
- 外交はそれを隠しているに過ぎず、国際的な力関係を反映している限りにおいて有効
- 軍人の国家に対する脅威の持続的性格の認識
- 現在の危険の急迫性も強調
- 軍人はその専門的能力の目標ゆえ、できるだけ正確に評価する必要あり
- 同時に軍事的安全保障に対する危険を強調する専門職業上の利害と義務
- どちらか一方になる
- 主観的専門職業的偏見
- 危険を過度に強調する傾向
- 安全保障への脅威の評価
- 他国の能力を評価する
- 他国の意図は専門外…政治の領域
- あらゆる場合を想定した計画立案
- 軍事力の拡張・強化志向
- 軍事費の増大
- 軍事的資源(経済、人口)の実際的な軍事力への換算
- 銃後の生産能力より正規部隊の重視
- ありとあらゆる事態への対応能力を要求
- 実際には全てには対応不能→軍人は軍事的優先度の順位確立が必要
- 安全保障体制や同盟による国家防衛への志向
- プラスとなる限りにおいて
- 純粋に国家安全保障上の利害に基づく(イデオロギーでも政治でもない)
- 国力は領土拡張により強化しうる
- 国力の増大につながらない領土は不要
- 政治目標の妥当性は関心対象外であるが政治目標と軍事的手段の関係に感心
- 政治家は国家の軍事的能力を超えて国家をコミットさせすぎることを警戒すべき
- 「(政治目的は)それゆえに、専制的立法者ではない。つまり政治目的は、手段の本質にそのまま順応しなければならない。」(クラウゼヴィッツ)
- 政治家は国家政策にダイナミックで意味のある要素の付与
- 軍人は受動的で役立つ手段を代表
- 政治家の目的が軍人の手段を超えたときに、政治家に警告することは機能
- 軍人は攻撃的好戦的な行動に反対
- 職業軍人は国策の決定に対しては慎重で保守的
- (戦争になって一番被害を被るのは軍事組織である)
- 軍人は戦争好きの部民の犠牲になると考える傾向
- 戦争を始めるのは、国民であり、政治家であり、世論であり、政府である
- これらに対して戦う必要あり
- 軍隊自体は戦争を引き起こすことはない
- 平和を希求する国家は十分な軍備が必要
- 力の弱い国家は攻撃を招きやすい
- 文民の政治は軍事予算の抑制と同時に、冒険主義的体外政策を追求し、人気を得ようとする傾向がある
- 軍人はこれらに反対
- 軍事職業は専門的
- その中では専門的、その外では非専門的
- 政治は国家政策の目標を取り扱う
- これは、軍人の能力を超越したもの
- 軍の将校が政治に関与することは、そのプロフェッショナリズムの基礎を危うくし、専門的能力を喪失させ、自らに不利なように専門的職業を分割し、専門職業上の価値を無関係な価値で置き換えてしまう
- ゆえに、将校は政治的に中立を維持せねばならない
- 軍事科学の領域は政治の領域に従属し、独立している
- 軍事専門職業は国家目標に奉仕する
- 軍人は政治から政治目標を与えられることを期待する権利がある
- シビリアンコントロールは政策の目的に対する一つの独立した専門的職業のこのような適切な従属がみられるときに存在する。
- 国家に対する軍人の責任の3重の性格
- 代表的機能
- 国家内において軍事的安全保障の要求を表現
- 軍と他の部門との資源分配を担当する公的機関に対して、考え方を提示する権利義務を有する
- 助言的機能
- 国家の取る行動に軍人としての観点から分析、報告
- 決定はもちろんできない
- 執行的機能
- 軍人としての判断に真っ向から対立するような決定であっても、軍事的安全保障に関する国家の決定を補完する
- ベストを尽くす
- 政治的考慮は軍事的考慮に優先する
- 純軍事的に見える決定も政策と関連している可能性に注意の必要あり
- 軍隊という職域全体およびその軍事力は、国家政策の有効な手段として構成
- 政治的決定は上(政治)からのみ来る
- 軍隊という専門職業が服従のヒエラルヒーとして組織される
- 即座の忠実な服従をほしいままにする必要(政治的決定が組織の内部で改変されてはならない)
- これがなければ、ミリタリープロフェッショナリズムは不可能
- 上からの合法的な命令はその意図を問わず直ちに実行される
- 専門的能力という理想からみた軍人としての中世のいが不変的で一様
- この理想により動機付けられたものが最も有能な将校団
- 軍人としての理念に動機付けられた場合にのみ、軍隊は国家の忠実な奉仕者になるし、シビリアンコントロールも確保される
- 専門職業的な将校団は徴募された人々の服従を確保することを目的とした国家の手段
- 軍隊における服従と専門的能力の間の矛盾
- 上官の命令に従えば、軍事的災害が起こると部下が考える場合
- 服従の目的は上官の目的を促進すること
- 上官の目的が部下に十分理解されており、かつ、部下が上官の知り得えない状況から考えて、その命令を実行しないほうが上官の目的を益する場合のみ、不服従を正当化しるう。
- しかしこれはまれなケース
- 運用面以外の教義上の問題を含む場合
- 厳格で融通の聞かない服従は新しいアイディアを阻害
- 歴史的に見て、そのような硬直性ゆえに現状にそぐわない戦術・技術の改良を妨げたことがある
- 答えは難しい
- 上級将校の権限は、優れた専門的能力を反映していることが前提
- そうでない場合は、指揮のヒエラルヒーは非専門職業的目的のために濫用されている
- 部下は教範よりも優れた考えを持っていることを主張する必要
- それが指揮系統の分裂によるコストを補ってあまりあるベネフィットをもたらす場合はその不服従は正当化される
- 究極的には専門職業的権限が最後の判定基準
- 軍隊における服従と非軍事的価値と間の問題
- 将校が国家的災難をもたらすことが明白な命令を政治家から受けた場合の将校の責任
- 4つのグループ分け
- 軍の能率を劇的に増大させる場合の不服従は容認されたが、それとパラレルな政治家と上級指揮官の関係はあるか?
- 軍の能率は限界があり具体的、比較的客観性があるのに対し、政治的知識は限界を持たず、曖昧で主観的で正確が違う
- 将校の政治的判断が政治家のそれよりも優れていることを証明しうる一般的な政治的価値というのは存在しない
- 政治家の優れた政治的知識は、事実として受容する必要あり
- 「ヒトラーに対する抵抗に参加したドイツ軍将校もマッカーサー将軍も、戦争と平和の問題を決定することが軍人の機能でないことを忘れたのであった。」(本文より)
- 軍人の能力発揮が政府上層部によって脅かされるとき
- 軍人がその専門的基準から判断すると、軍事的かつ政治的に意味をもたらさない、厳密に軍事的領域に属する手段を取る命令を政治家から受けた場合
- 軍人本来の専門領域の明らかな侵害ゆえに軍人の不服従を正当化
- 中間的な場合
- 》自称《合法的に行動している政治家から命令を受けた場合
- 専門家集団としての法務官に一任
- 緊急でそれが間に合わない場合
- 将校が政治的選択をするしかない
- 基本的な道徳性との対立
- 倫理的基準を判断し、適用する能力においては、政治家も将校も対等
- しかし、政治家は国家の政治的利益助長のために一般道徳を無視することを強いられていると考えられるう場合がある
- その場合、最も極端な例を除けば、服従すると期待するのが合理的である
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